主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】皮膚は体最大の器官であり,外部環境の刺激から内部組織を保護する重要なバリア機能を有する.その複雑な構造と多様な生理機能により,生体防御の最前線として働いている.UVA/UVB-放射線照射による誘発された光酸化ストレスが,沿岸地域における皮膚の光老化の主な原因である.アスタキサンチンは,これまで発見された天然抗酸化物質中最も活性が高く,紫外線誘発性皮膚光老化に対する防御効果が期待されていた.ここでは,皮膚の光老化を緩和するための新しいアスタキサンチンナノデリバリーシステムを提案する.【方法】アスタキサンチン/BSA/キトサンナノ粒子(H/J-ABC-NP)をボトムアップレイヤーバイレイヤー自己組織化法により作製し,アスタキサンチンの水分散性と安定性を向上させた. H2O2処理によりL929細胞に酸化ストレスを誘導し,H/J-ABC-NPの抗酸化能を評価した.UVA/UVB照射によるBALB/cマウス光老化モデルを構築し,H/J-ABC-NPの抗皮膚光老化能を検討した.【結果】H-ABC-NPsとJ-ABC-NPsともに球状で,粒子径はそれぞれ231±9 nmと368±5 nm,ゼータ電位はそれぞれ+26 mVと+30 mVであった.H/J-ABC-NPへのアスタキサンチンのカプセル化効率は90%以上であった.分光分析の結果,から,H/J-ABC-NPの形成は,静電的な相互作用,疎水性相互作用,および水素結合が主な駆動力であることが明らかとなった.一方,H/J-ABC-NPsは優れた細胞安全性(細胞生存率95%以上)と抗酸化活性を示し,H2O2誘導酸化損傷のL929細胞において,活性酸素の産生を抑制し,SODとCATの発現を促進した.さらに,UVA/UVB照射誘発性BALB/cマウス光老化モデルにおいて,H/J-ABC-NPは皮膚シワの形成並びに表皮層の肥厚への抑制,コラーゲン繊維構造の保護作用を発揮することで,顕著な抗光老化効果を示した.さらに,H/J-ABC-NPsは,SOD,CAT,GSH-Pxの発現を促進し,マウスのMDA,IL-1α,IL-6,IL-1βの過剰発現を抑制することにより,炎症反応と酸化ストレスによる損傷を軽減した.H/J-ABC-NPsは,MMP-1の発現を抑制し,HYPとHAの発現を増加させ,コラーゲンの分解を緩和した. 本研究では,H/J-ABC-NPの抗光老化作用とそのメカニズムを解明し,H/J-会合体アスタキサンチンの機能性食品開発や医薬品応用への展開可能性を示唆した.