抄録
近年,ベンゾオキサジンは,高耐熱性,高ガラス転移温度等の優れた特性を有し,低硬化収縮性を有する開環重合性の熱硬化性樹脂であることが報告されている。本研究では,フェノール樹脂を原料に合成される新規なベンゾオキサジン樹脂の熱硬化反応性,硬化物の熱的特性および機械的特性について検討を行った。DSCの測定結果から求めた,これらの樹脂の反応温度はいずれも230℃~250℃の範囲であった。架橋反応後の熱分解は,結合基の種類にかかわらず,いずれも300℃付近から始まることが分かった。架橋反応後の樹脂の700℃に於ける残渣率は,フェノール間の結合基をメチレン基とした樹脂が最も高い値を示した。さらに架橋反応物の動的粘弾性測定の結果から,結合基がメチレン基の樹脂のガラス転移温度が最も高く,ガラス転移温度未満での貯蔵弾性率も高いという結果が得られた。また,動的粘弾性の測定結果から架橋密度を算出した。架橋密度とガラス転移温度,熱膨張係数の関係を調べた結果,架橋密度が高い樹脂ほどガラス転移温度は高くなるが,熱膨張係数は大きな違いが観られなかった。また,ガラス転移温度以下における弾性率は,架橋密度が高いほど弾性率が大きな値を示した。これらのベンゾオキサジンの動的粘弾性測定の結果から,結合基の購造により架橋密度が異なり,これが弾性率やガラス転移温度に影響を及ぼすことが示唆される。