抄録
本研究の目的は,実鋼構造物での接着接合部の耐久性を明らかにし,かつ,実績が短い仕様に対する長期耐久性推定手法を確立することである。本研究では20年の実績がある接着接合部の長期耐久性について検証を実施した。まず,その10,15,20年経過した接着接合部のせん断強度試験結果を元にした近似から寿命推定を行った。しかしながら,実績以上の耐久性を推定するには十分とは言えず,さらに信頼性を高めなければならない。そこで,この課題を解決出来る手法として,実際の環境条件と相関性の高い劣化促進条件を設定し,その条件による劣化促進試験結果と実邸の評価結果を組み合わせて適切な劣化促進倍率を求めるという寿命推定方法を提示した。このときの必要条件として,両者のせん断強度試験で界面に起因する破壊がなく,常に凝集破壊であることが挙げられる。この方法によって,本仕様での接着接合部が住宅に求められる最高レベルの耐久性である90年以上を確保出来ることが証明できた。