2016 年 52 巻 3 号 p. 70-76
ポリウレタンエラストマー(PUE)のブレンドによりエポキシ硬化物の脆弱性を改質可能であるが,PUEによる可とう化により弾性率やガラス転移温度(Tg)等の低下が起こるため,ハードセグメント含有量を増加させたポリウレタン樹脂(PUR)に着目して,熱的特性等の低下を抑制しながら物性を改質することを試みた。分子量1000のポリオキシテトラメチレングリコール,4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート及び1,4-ブタンジオールのモル比を変化させたPURをエポキシ中で合成し,それら添加量とハードセグメント含有量を変えた硬化物の諸物性を測定して検討した。硬化は潜在性硬化剤のアジピン酸ジヒドラジドを用いた。測定は,接着物性,曲げ物性,破壊靭性測定,動的機械分析(DMA)及び破断面の走査型電子顕微鏡観察(SEM)を行った。硬化物の物性結果から,ハードセグメント含有量の増加とともに,接着性や強靭性が向上することを認めた。破断面のSEM 観察から,いずれの系も海島型のミクロ相分離構造を形成しており,ハードセグメント含有量の増加は,PUR粒子径を微細化する傾向を認めた。これらの結果から,高ハードセグメントのポリウレタン樹脂添加は,エポキシ硬化物の改質の可能性を認めた。