2022 年 58 巻 2 号 p. 58-65
丸棒被着体の接着面の縁の角部に丸みを施し,突合せ接着した形状の解析モデルについて,有限要素法により応力解析を行った。この結果と接着剤自体の強度を用いて継手の強度を推定し,継手の直径,縁部丸み半径及び接着層厚さの比率が突合せ継手の引張強度に及ぼす影響について調べた。さらに,同様の形状で突合せ継手を実際に製作して引張強度を測定し,解析による推定継手強度との比較を行った。その結果,丸棒被着体の縁に丸みを施して接着した試験片の強度は,解析では直径,縁部丸み半径及び接着層厚さの比率が一定の場合,そのサイズが変化しても変わらない。しかし実験では,接着層が適正値である場合,継手の強度は解析による推定強度とほぼ一致するが,接着層が厚くなるに従い,その強度は低下する。これらの結果から,接着継手の強度を得るためには,接着層厚さを適正値に制御する必要があることを示した。