2023 年 59 巻 1 号 p. 11-16
ポリプロピレン( PP)/ 無水マレイン酸変性ポリプロピレン( PP-g-MA)/ フィラー 3 元系複合材料の力学特性に及ぼす PP-g-MAの酸価および体積分率の影響を検討した。フィラーとして,球状のシリカ(SiO2)またはアルミナ(Al2O3) を用いた。複合材料のヤング率は,PP-g-MA の酸価および体積分率にほとんど依存しなかったが,引張降伏応力(σy) は依存し,系中の無水マレイン酸濃度(CMA) で整理できた。SiO2 系複合材料のσy はCMA とともにわずかに増加したが,Al2O3 系複合材料のσy はCMA とともに著しく増加した後,一定値に到達した。走査電子顕微鏡観察より,SiO2 表面上には分子鎖吸着層は形成されず,Al2O3 表面上には形成されることを明らかにした。吸着層厚から見積もったAl2O3 表面を被覆するのに要するCMA は,σy が一定値に到達する際のCMA とよく対応した。シャルピー衝撃強度のCMA 依存性もσy と同様に吸着層の影響を考慮することで説明できた。フィラーと変性高分子との界面接着制御が,複合材料の力学特性の向上に重要な役割を果たすことを明らかとした。