2026 年 62 巻 7 号 p. 143-150
第二世代アクリル系接着剤(SGA)は,破壊試験時に凝集破壊を示すため接着設計が容易であり,さまざまな製品に利用しやすい材料である。一方で,硬化時に硬質相と軟質相に相分離し強度と延性を発現するため,特異なポリマーとして優れた研究対象となる。本研究では,主成分が同じで反応速度が異なる2種類の第二世代アクリル接着剤(SGA)を用いて,樹脂の引張特性と接着特性について調べた。反応速度の遅いSGA では,反応速度の速いSGAより,高い弾性率および樹脂強度を示したが,破断伸びは小さくなった。また,突き合わせ接着試験においても,反応速度の遅いSGAで高い接着強さを示した。破面観察から,反応速度の遅いほうがより大きな数十μm のアクリル凝集体をもつ相構造となることがわかった。また,透過電子顕微鏡(TEM)観察は,反応速度の遅いSGA のほうがマトリックス樹脂にアクリル相が小さくなることを示した。原子間力顕微鏡(AFM)を用いた弾性率の分布から,反応速度の速いSGAは低弾性率相と高弾性率相の差が大きく,相分離しやすいことがわかった。硬化過程を考慮した相構造モデルから,力学特性の差を説明した。