2023 年 47 巻 1 号 p. 53-62
本研究では、自閉スペクトラム症のある幼児・児童6名を対象に、課題を一種類のみ提示する条件と複数種類提示する条件を既に学習済みの課題を用いて比較し、課題従事行動促進への効果を検討した。具体的には、操作交代デザインを用いて、既学習課題における正反応率の維持と観察者2人による対象児の課題従事の様子の評価を比較した。その結果、正反応率の維持と課題従事の様子の評価は、全ての対象児において、2条件間で大きな差は見られなかった。また、既学習課題を用いても、繰り返し提示することで、正反応率が維持せずに低下することがあった。この結果について、課題の提示方法によって課題への注視行動が異なっていた点と既学習課題を用いたことによる影響について考察する。