アロマテラピー学雑誌
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研究ノート
市販ベルガモット(Citrus bergamia Risso)精油中のリナロールのエナンチオマー分析
沢村 正義 芦澤 穂波浅野 公人長野 桃太北岡 雄一
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2025 年 26 巻 1 号 p. 42-49

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抄録

市販のベルガモット(Citrus bergamia Risso)精油に含まれるLinaloolとLinalyl acetateのエナンチオマー分析を行うことによって,ベルガモット精油の純度の検証を行った。市販試料としては,34種類が果皮圧搾油,1種類が果皮水蒸気蒸留油であった。また,ベルガモット果実から実験室レベルの圧搾油およびヘキサン抽出油を調製し試料とした。これらに加えて,長期室温保蔵した3種類の圧搾油およびラセミ体のLinalool標準試薬についても分析した。分析は選択的イオンモニタリング(SIM)モードを使ったガスクロマトグラフィー-質量分析計によりキラルカラムを用いて行った。設定質量はLinalool, Linalyl acetateに共通して,m/z 71.0, 93.0, 80.0, 121.0とした。(S)-(+)-Linaloolに対する(R)-(-)-Linaloolのエナンチオマー割合は,(R)-(-)-Linaloolが多くの市販の圧搾油,蒸留油,そして実験室レベルの調製試料および長期室温保蔵試料においても98.0%ee以上と圧倒的に高いことが明らかとなった。このことはエナンチオマー割合が種々の因子によって影響されず変化しないことを示唆している。結論として,(R)-(-)-Linaloolのエナンチオマー割合から判断して,市販ベルガモット精油にはエナンチオマー純度の高い精油と判断されたものが29種類,残りの9種類の精油は純正な精油とは判断できなかった。

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