糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: AS-1-6
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シンポジウム:糖尿病における心血管疾患の病態解明の現状
神経内科専門医の立場から
*加藤 丈夫
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抄録
糖尿病に伴う大血管障害として、患者の生命予後に最も重大な影響を与えるのは虚血性心疾患と脳血管障害である。ここでは神経内科専門医の立場から、以下の2つのテーマについて述べる。1. 糖尿病と脳卒中(特に脳梗塞)1) 脳卒中の発症:糖尿病が有症候性脳卒中の危険因子であることは、既に世界各地のコホート研究が示している。私どもは、75gOGTTで「正常型」、「境界型」、「糖尿病型」と診断された地域住民(山形県舟形町)を12年間追跡調査し、虚血性心疾患と脳卒中の発症率を検討した。その結果、虚血性心疾患の発症でみると、「糖尿病型」は「正常型」に比べ有意な危険因子であったが、「境界型」と「正常型」との間には有意差はなかった。一方、脳卒中の発症率は「糖尿病型」と「境界型」ではほぼ同等であり、両者は「正常型」に比べ有意な危険因子であった。2) 無症候性脳梗塞:無症候性脳梗塞が有症候性脳梗塞の危険因子であることが報告されている。一方、糖尿病が無症候性脳梗塞の危険因子であるか否かは一定の見解がない。そこで、75gOGTTで「正常型」、「境界型」、「糖尿病型」と診断された地域住民(舟形町)および「既知糖尿病」患者を対象に脳MRI検査を行った。その結果、年齢と高血圧は無症候性脳梗塞の有意な危険因子であったが、「境界型」、「糖尿病型」、「既知糖尿病」はいずれも有意な危険因子とはならなかった。したがって、高血圧と糖尿病では、有症候性脳梗塞の発症機序に違いがあることが示唆された。2. 糖尿病性バリズム・舞踏病 血糖コントロールが悪い時や糖尿病性昏睡の回復直後に出現するバリズムや舞踏運動であり、被殻の一過性虚血が原因と推定されている。高齢者にやや多い傾向がある。左右の被殻に病変がある時は左右の四肢に、病変が一側の時は反対側の上下肢に症状が出現する。脳MRIでは、被殻はT1強調画像で高信号、T2強調画像で等信号ないし低信号を呈する。造影剤による増強効果はない。ときに、被殻のみでなく、尾状核や淡蒼球に病変が広がることもある。多くの場合、神経症状は一過性であり、経過とともに消失する。これに並行して、脳MRI所見も正常化する。バリズムや舞踏運動に対して、ハロペリドール等が奏効し、これにより、患者のADLを改善できる。
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© 2005 日本糖尿病学会
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