糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: CS-1-4
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シンポジウム:私は療養指導士の資格をこのように活用している
栄養士の立場から
*増子 マキ子
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抄録

【はじめに】当院は糖尿病センターを持つ病床数1144床の総合病院。現在、栄養部には管理栄養士18名、栄養士4名、調理師・調理員50名の計73名が勤務し、糖尿病療養指導士の有資格者は11名。今回療養指導士の資格を得るために、糖尿病の病態や患者の心理と行動、インスリンや血糖降下薬の特徴などを学んだことにより、以前より患者さんの立場や状況を理解した上で、患者さん自身が自己管理法を選択、実行できるような援助を目指している。【療養指導士としての栄養士の役割】(1) 継続自己管理の意識づけ (2) 食事療法の必要性の説明と指導 (3) 栄養評価と個別対応の実践 (4) 生活指導全般から食をめぐる分野を受け持つ (5) 医療スタッフと共に患者さんの自己管理への援助とQOLの確立に力を注ぐ。【療養指導士の資格を活かして】当院は病棟調理、病棟担当栄養士体制を取り入れており、糖尿病食の選択メニュー週5日の実施と、糖尿病の食事療法を患者自身が、自分の目と体で覚えられるように昼食の計量指導とバイキングを実施している。療養指導士の有資格者が糖尿病教室、調理実習・外食会、個別指導を行なっている。今まで画一的であった食事指導が個々の病態にあった治療法を考え、きめ細かな指導が可能となった。療養指導士の資格を持つことにより、自信を持って話せるようになり、患者さんのモチべーションを上げることが可能となり大きな収穫と感じている。【当院のチーム医療】チーム医療を結成し活動を継続するには各スタッフの意欲と信頼関係が必要である。当院の糖尿病チーム医療はスタッフミーティングや総回診、フリートーキング、症例検討会などを通して各スタッフが共通して患者の病態や心理的状態を理解し、サポートの方法を検討している。同じ糖尿病療養指導士の資格を持つことで、それぞれの専門性を生かした意見の交換ができ、連携のとれたチーム医療が、患者の治療効果につなげられている。【今後のとりくみ】当院でもNSTチームが発足し、栄養障害を伴った患者へのケアと生活習慣病による合併症の重要性が認識されつつある。今後栄養士は患者にとって魅力ある栄養指導をするためにも、医師の指示による適切な患者指導が出来るよう日本病態栄養専門師の学習と糖尿病療養指導士の資格を活かし、患者個々のアウトカムの達成に向けてさまざまな問題に対処できる糖尿病療養指導士を目指していきたい。

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© 2005 日本糖尿病学会
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