糖尿病学の進歩プログラム・講演要旨
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セッションID: AL-4
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レクチャー:EBMから見た糖尿病における心血管疾患予防の重要性
UKPDS
*田中 逸
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抄録
UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)は新規に診断された2型糖尿病患者5,102例を対象とした大規模前向き疫学研究である。当初3ヶ月間の食事指導後、空腹時血糖が108-270 mg/dlで症状のなかった4,209例が無作為に強化療法群と従来療法群の2群に割り付けられた。強化療法群はSU薬またはインスリンを用いて空腹時血糖108 mg/dl以下を目指し、従来療法群は原則として食事療法のみで、空腹時血糖270 mg/dl以下を目標とする穏やかなコントロールが行なわれた。平均10年間の血糖管理状況は、強化療法群のHbA1c 7.0%に対して、従来療法群は7.9%であった。これは我が国の測定法では、6.7% vs. 7.6%に相当する。また160/90 mmHg以上の高血圧合併1,148例に対して、ACE阻害薬またはβ遮断薬を用いて厳格にコントロールを行なう群(目標150/85 mmHg)と緩やかなコントロール群(目標180/105 mmHg)に割り付けられた。平均8.4年間の両群の血圧変動は厳格群144/82 mmHgに対し、緩やかな群は154/87 mmHgであった。 UKPDSでは死亡や動脈硬化症、細小血管合併症など多くのエンドポイントが設定された。今回のテーマである心血管疾患に関する結果に注目すると、0.9%のHbA1c差では心筋梗塞、脳血管障害のいずれの発症率も有意な減少は認められなかった。また収縮期圧10 mmHg、拡張期圧5 mmHgの血圧差では心筋梗塞の発症率には有意差はなく、脳血管障害で44%の有意な相対的リスクの減少が認められた。その後、対象者全体の心血管障害の発症率や致死率に関する血糖、血清脂質、血圧などの危険因子に関する解析が行なわれた。今回はこれらの成績を中心にご紹介し、心血管障害の発症阻止に関してUKPDSから学ぶ点は何かを考えてみたい。
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© 2005 日本糖尿病学会
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