家族研究年報
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性的主体化と制度の物質性
― マルクス主義フェミニズム理論の脱構築 ―
大貫 挙学
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2013 年 38 巻 p. 39-56

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抄録

    「言語論的転回」以降のフェミニズム理論において、性別カテゴリーやセクシュアル・アイデンティティは、言説による構築物とみなされるようになっている。J. バトラーによれば、主体は、言語行為によってパフォーマティヴに構築されるものである。 しかし、こうした理論的傾向に対しては、「文化的」次元のみが過度に強調され、「物質的」不平等の問題が軽視されているとの批判がある。一方、性差別の物質的側面を重視してきたのが、マルクス主義フェミニズムであった。とはいえ、マルクス主義フェミニズムにおいては、性的主体化の言説的機制が適切に理論化されていない。
    そこで本稿では、主体の言説的構築を前提とする立場から、マルクス主義フェミニズム理論の再検討を行いたい。とくに、社会の内部/外部の非決定性が、物質/文化の相互還元不可能性を示していることを主張する。

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© 2013 家族問題研究学会
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