抄録
地生態学的研究を日本の山地をフィールドとして行う場合に、自然地理学の一分野としての気候学が何をなすべきかを考察した。まず山地の定義から日本の山地の特色をスケールに求め、次いで山地気候に言及した。さらに日本の山地に特有の気候について説明したのち、マクロな気候の要素である台風や温帯低気圧の重要性を強調した。以上を前提として、地生態学における地因子としての気候は、地形や植生、土壌などとは異っており、地表に付属する実体を持たないことから、独立した因子と考えることも可能で、好条件下でモニタリングが可能であることを指摘した。最後に、地生態学的研究を日本の山地で展開する際に気候学に求められるのは、第1に観測データの蓄積、第2に山地に適応可能な気象モデルの応用的展開であることを主張した。尚、本発表はシンポジウムの話題提出が目的である。