日本地理学会発表要旨集
2002年度日本地理学会秋季学術大会
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商家の経営展開からみた地方都市の変容
河野 敬一
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p. 44

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抄録
本研究は、商業機能に特化した地方都市が、近代移行期においてどのようなメカニズムで変容してきたのかという課題を解明するために、長野県小諸を事例に、商業都市の「要素」として重視すべき商家の同族的経営展開の変化からアプローチを試みたものである。小諸の柳田同族団は、明治初期以降78店に及ぶ暖簾分けによる同族商店を輩出し、小諸本店を頂点とした合理的な経営システムを構築し商圏を拡大した。しかし、昭和初期以降、小諸本店の別家支援力や同族団の紐帯の弱体化を示す出来事が相次いで起こった。こうした同族的商業展開の変質を、地域の変容と関連させて考察すると、鉄道交通の普及による長野県の交通·物流ルートの変化や全国的な流通システムの再編成などの動きの中で、小諸の卸売商業都市としての立地の優位性が低下したこと、同族組織の維持を優先し外資の導入や新しいシステムへの対応が遅れたことなどが指摘できる。
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© 2002 公益社団法人 日本地理学会
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