日本地理学会発表要旨集
2002年度日本地理学会秋季学術大会
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提言型地生態学的アプローチの必要性:ヒマラヤへのエコツーリズム導入のための研究フレームワークから
渡辺 悌二
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p. 6

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抄録
ネパール東部に位置するカンチェンジュンガ自然保全地域において、エコツーリズムの導入を最終目的として、1997年に北大とトリブバン大学によって共同研究プロジェクトが開始された。このプロジェクトでは、エコツーリズムの導入に一般的に適用される社会·経済学的視点からのアプローチをとらずに、氷河·永久凍土の融解による地表面の安定性の変化から、住民·訪問者への安全性確保や動植物保全に対して提言を行うアプローチをとっている。このプロジェクトを通して、厳しい環境下におかれた山岳地域にエコツーリズムを導入するためには、自然環境分野に関する調査も不可欠であることが強調された。この結論は、山岳エコツーリズムに限らず、山岳地域の社会問題の解決に対しても有効となることが多い。欧米の研究者と比べると日本の研究者は、従来、学術的な成果をもってプロジェクトを終えることが多かったが、問題解決を目指した提言型の地生態学は、今後、より重要になり、この分野での日本人研究者の貢献が求められている。さらに、総合的なプロジェクト形態の研究実践を通して, 地生態学のレベルアップや「地生態学者人口」を増やす必要があるといえる。
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© 2002 公益社団法人 日本地理学会
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