日本地理学会発表要旨集
2002年度日本地理学会秋季学術大会
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丹沢山地南部の登山道侵食
中村 洋介
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p. 5

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抄録
本発表では, 登山者の過剰利用により荒廃した丹沢山地南部の大倉尾根と表尾根を取り上げる。本地域は比較的規模の大きい荒廃がみられる。発表では, 荒廃に至った過程を報告するとともに, 現在設置されている侵食防止施設の保全機能の効果について検討する。本地域の登山道侵食を航空写真により判読した。その結果面状の裸地化が1964年以前から始まっていたことが判読された。1980年代前半には面積が最大となるが, 1987年から施工された木製階段などにより面状侵食は抑えられ, 現在の裸地の分布になった。しかし, 登山道ではガリー侵食は依然として進行しており, 厚い土壌層に覆われた地域では最大で約4mのガリーが形成されている。また, 新たに施工された木製階段等についても侵食や埋積が起きている。登山道が面的に広く裸地化した場所は、尾根上の緩斜面にあり, 以前はススキ草原であった。さらに, 裸地は登山者数が多い登山道に沿って分布している。ガリー侵食が卓越する場所は, 厚い土壌層が存在する地域である。丹沢山地は東京近郊の自然公園に位置し, 通年の登山が可能であることからもレクリエーション適地として多いに利用される地域である。このような過剰とも思える利用に加えて, 草地や厚い土壌層の存在が面状侵食やガリー侵食を引き起こしたと考えられる。
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© 2002 公益社団法人 日本地理学会
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