抄録
渡島半島の江差砂丘は, シルト·砂画分領域に二つの粒度ピークを持つことより, 二次テフラ物質の混入が予想され, 一般の海岸砂丘とは異なる発達過程を有すると考えられる。砂丘下位の陣屋ローム層との境に黒ボク土層を, さらに砂丘中に4層のクロスナ層(A∼D)を挟在するが, この黒ボク土層の14C年代(5,135±25y.BP)から推定して, 砂丘形成開始は縄文海進ピーク後の海退期である。砂丘の活動はクロスナ層 A(2,425±25y.BP)頃の中断期を経て継続し, クロスナ層 B(1,935±25y.BP)からB-Tmを挟むクロスナ層 C(1,140±25y.BP)までの時期は停滞したが, その後再び堆積が盛んになったと考えられる。これらクロスナ層のうち腐植の集積が著しい下部二層(A, B)は, 黒ボク土層と同様な化学特性(pH(NaF)≥9.5)と腐植特性(炭素含量≥4%, MI≤1.7)を持つ一方で砂画分粒子が多く, 黒ボク砂層ともいうべき性状を有する。