抄録
旧下野レンガ窯を対象とし、塩類鉱物が好む析出条件を季節的·空間的に調べた。析出塩量は秋から冬にかけて多く、また、北向き面よりも南向き面で、1階壁面よりも2階壁面で多い。春から夏にかけては石膏とエプソマイトが多く析出し、秋から冬にかけてはテナルダイトとヘキサハイドライトが優勢であった。析出塩が最多の2月には、含水比が約20%である1階内壁下方で石膏とシンジェナイトが、含水比が5%以下の中央部でテナルダイトが、含水比が10数%のアーチ状天井から2階内壁にかけてはヘキサハイドライトが析出していた。また、含水比が2∼3%の2階内壁の最上端ではハライトが見られた。外壁では、中央部でニトラティンとわずかな石膏が、その上方ではテナルダイトとスターケアイトが析出していた。以上より、含水比が高くなるにつれ、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウムが析出してくることが判明した。