日本地理学会発表要旨集
2002年度日本地理学会秋季学術大会
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東京都国分寺市における農業経営形態の変化
池上 絵美子
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p. 89

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抄録

都市化の著しく進展しているにも関わらず農地が維持されている地域として東京都国分寺市に着目し、農家の都市化への対応と伝統的な農村の変容について、農業経営の変化から考察した。終戦前後の食料増産対策時までは麦と芋類が中心であり、伝統的な新田集落を維持していたこの地域の農業経営は、1950年代に食料不足の解消とともに付加価値の高い果菜類が選択されて以来、商品作物中心の農業経営となった。1950年代後半に果菜類が衰退し、植木中心、畜産と野菜の複合経営、野菜生産のみの農業経営という意思決定が行われた。現在、植木中心、野菜のみを選択した農家は需要の変化や農業政策に対応した経営を行っている。その一方で、畜産と野菜の複合経営を選択した農家は畜産を拡大した農家、畜産をやめて野菜中心になった農家に分かれるという再編成が見られた。

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