日本地理学会発表要旨集
2003年度日本地理学会秋季学術大会
会議情報

関東地方における夏季強雨頻度の年々変化
*澤田 康徳高橋 日出男
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 170

詳細
抄録
1.はじめに東京都心部を中心とした南関東における強雨の発現には,水平風の収束がその要因の一つとして考えられている.北関東においても強雨の発現には収束帯の寄与が指摘され,夏季の関東地方における強雨の発現には,地上風系により形成される収束帯の存在が重要であることが知られている.これらの収束帯は,両者とも異なる海よりの風系(相模湾からの南風と鹿島灘からの東_から_南東風)によって形成されることから,相互の関連性も考えられる.その場合には,強雨の発現頻度について関東地方の南北間で系統的な変動があってもよい.本研究では,東京都心部を含む南関東から北関東における強雨頻度の年々変化の地域性を明らかにし,地上風系場,総観場との対応を把握することを目的とする.2.資料と方法用いた資料は,5年間(1995_から_1999年)にわたる夏季7,8月における毎時のレーダーアメダス解析雨量(約5kmメッシュ)とアメダス風向風速データである.強雨頻度の年々変化を把握する際に,年による強雨発現回数の多寡の差異を取り除き,相対的な強雨頻度分布を知るために,年ごとに20mm/h以上の強雨について約20km四方(16メッシュ)ごとに対象領域全体の強雨の発現回数に対する強雨の発現回数の割合を求め,それを強雨頻度とした.なお,地上風系場の解析にあたり,アメダス風向風速データから約11km間隔の格子点に内挿した東西・南北の風速成分を用いた.3. 強雨頻度の年々変化強雨頻度は,主として周辺山地を中心とした東経140度以西の領域で高く,その年々変化傾向には,南関東と北関東でおおよそ逆の傾向が認められた.このことから,平野域において緯度方向にある程度の広がりをもった領域を設定し,その領域内で強雨頻度の年々変化を把握した.年々の変化に着目すると,領域B付近(以下,南関東と表記)と領域F付近(以下,北関東と表記)とでは,強雨頻度の増減に負の相関関係が認められる.4. 強雨発現時の地上風系場南関東と北関東における強雨発現時の風系場を分類した結果,両地域とも関東地方が南および東よりの風(Type S-E)に覆われる風系型が最も多く,ついで南よりの風系型(Type S)が多い.なお,南関東では北東よりの風で覆われる風系型も比較的多い.Type S-Eに着目すると,両地域の場合とも東京湾,相模湾などからの南よりの風,鹿島灘からの東よりの風が内陸に侵入している.南および北関東はそれぞれ侵入方向が異なる風が合流する領域にあたり,そこに収束域が形成されている.しかしながら,北関東の場合に比して南関東の場合には,南よりの風は35.5 °N付近にとどまり,東よりの風の範囲が南下している.このように南関東と北関東における強雨発現時の風系には,地上風系場として南および東よりの風の侵入限界の差異により,収束域が形成される領域が異なると考えられる.なお,Type Sに関しても南関東の場合,北関東に比して南よりの風の到達限界が南下している.地上風系場は,総観規模の気圧分布に対応して様々な出現形態をとることから,南および東よりの風の到達限界に対応する収束帯の位置が総観場によって異なり,収束域となる高頻度の領域が変動し,それが強雨頻度の年々変化に寄与する可能性が考えられる. 発表では強雨頻度の年々変化とともに収束・発散分布など地上風系場および総観規模の気圧分布の年々変化との関係を解析したい.
著者関連情報
© 2003 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top