抄録
東アジアは,夏季を除く他の季節においてZonal windの蛇行が最も激しく,トラフが形成されやすい地域である。したがって,トラフの位置の変動は,東アジアの気候変化に関わる重要な課題であるといえる。特に,トラフ形成地域の傾圧不安定による低気圧性擾乱の発達は,最近研究が進められている黄砂の発生位置と移動経路を知る指標になるものと思われる。そこで,本研究では,東アジアにおける春季を中心とした季節のトラフの形成頻度,および経度的位置の経年変動を明らかにすることを目的としたものである。解析対象範囲は,東経80°から140°である。解析に用いた資料は,NCEP/NCARの再解析データの500hPa等圧面デイリーデータの南北風速成分である。期間は,1970_から_2002年の1_から_5月である。 33年間におけるトラフの平均形成数は,約7.5回であり,3月から5月にかけて多く現れる特徴がみられた。また,ゴビ砂漠付近の月別トラフ発現数は,4月において1975年をピークに減少傾向を示すのに対し,タクラマカン砂漠付近では,それ以前に比較して1993年以降増加傾向を示した。