日本地理学会発表要旨集
2006年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 124
会議情報

屋上樹木緑化とその周辺のCO2及びNO2濃度分布と意義について
*福岡 義隆松本 太鈴木 まどか丸本 美紀
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
1.研究の背景と目的 都市の温暖化に対する緩和効果を目的とする屋上緑化には種々のタイプがあり、それぞれに計画と実施が推進されているが遅々として進んでないのが現状である。演者らが5年ほど前から研究対象にし、本学会でこれまでにも一部紹介している「さいたま新都心」駅そばの「けやきひろば」は所謂「屋上緑化施設」とは違い、「空の森」をメインテーマとして地上7m(ほぼ2階建の屋上)の人工地盤上に220本のケヤキが植栽されたものである。この施設は既設のビル屋上に猫の額ほどの草花を植栽させている所謂「屋上緑化」とは規模も効果も大きく異なるが、温暖化緩和という目的は同じである。本研究では「けやきひろば」が屋上樹木緑化としての機能を発揮しているかを主目的に微気象調査を続けてきている。 2005年度は「けやきひろば」内外において簡易法ではあるが炭酸ガスと二酸化窒素の2項目についての濃度観測も試み、見かけ上ではあるがケヤキ林による大気汚染浄化作用が認められた。 それらの観測成果の一部を紹介し、屋上樹木緑化の存在意義と大気汚染濃度との関係、その中の温暖化ガスCO2と温暖化との因果関係についての問題を論じてみたい。
2.「けやきひろば」内外の気温分布と温暖化ガスの寄与に関する考察NO2はザルツマン試薬を使った簡易測定キット、CO2は炭酸ガス測定器testo535を用い、約1ha内に12地点で移動による分布観測を実施した。夏秋冬、3回/日、計12回観測した。結果の1部(H17年8月29日)によるとキャノピ上は394ppmであるが林内は360から370ppmと低い。緩和効果らしい分布が見られる。NO2にも同様の結果が得られた。 図 CO2濃度分布例(2005.8.29) このような微気象的な現象とは別にCO2濃度がはたして温室効果ガスとして温暖化に大きく寄与しているのだろうか疑問視されている(根本順吉1994、槌田敦2006)。CO2温暖化説の問題点をも論じてみたい。(立正大ORC、文科省科研、住友財団助成等使用)
  Fullsize Image
著者関連情報
© 2006 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top