日本地理学会発表要旨集
2006年度日本地理学会春季学術大会
会議情報

西日本における主要横ずれ活断層の変位量・変位速度の分布からみた活動セグメントの評価
*橋森 公亮高橋 就一中田 高今泉 俊文
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 60

詳細
抄録
1.はじめに
 1995年の兵庫県南部地震以降,全国の主要活断層を対象とした調査研究が多数実施されてきた.従来の地形地質調査に加え,トレンチ掘削や反射法地震探査などの様々な手法によって,活断層の活動性に関するデータは着実に蓄積されつつある.同時に,断層変位量および変位速度の分布の検討は,活動セグメントの評価という観点から重要な課題とされている.そこで本研究では,全国の主要98断層帯を対象とした既存文献調査に基づいて,断層変位量データベースを作成し,データのマッピングを通して,変位量・変位速度分布の検討を行う.ここでは主として西日本に分布する横ずれタイプの活断層を例に検討する.
2.断層変位量データベースの作成
 データベースは,既存文献(学術論文・報告書・調査資料など)を利用して,主に該当文献に関する情報と変位量に関して記載されている情報を抽出して作成した(図1).前者は文献名,著者名,掲載雑誌名・発行元,発表発行年などで,後者は変位量測定地点,変位量(垂直・水平方向別),変位地形,変位基準,基準形成期,測定方法などである.
 変位量に関するデータは,それらが得られた地点のID番号を用いることで管理できるようにした.変位量は,断層変位地形の認定や測定方法が文献によって異なるので,計測手法には特に留意した.また,文献に記述されている変位量が,特定のポイントにおける値なのか,ある地区における平均的(代表的)な値なのかと言う点にも注意した.
 そこで,変位量の測定地点,変位基準,基準形成期の決定方法,変位量測定方法に関しては,各データの属性の違いを区分できるように,別途基準を設けて細分した.
3.横ずれ変位量・変位速度分布の表現
 上記のように整理された断層変位量データを用いて,四国中央構造線断層系の横ずれ変位および,それに付随する縦ずれ変位の断層変位量および平均変位速度分布を示した(図2).横ずれ変位量は主に河谷や段丘崖の屈曲量によって求められる.屈曲谷が開析する地形面の年代が明らかな場合,屈曲谷の形成は少なくとも地形面形成後のイベントと考えることができるので,平均変位速度の下限が求まるが,平均変位速度の分布にはばらつきが大きい.一方,横ずれに付随する縦ずれ変位速度は,東半部で「山型」の分布を示し,おおよそ横ずれ変位速度の分布と対応した関係にあるといえる.南側隆起を伴う西半部については,年代に関するデータが不足しており,変位速度分布を検討するには,さらなるデータの蓄積と整理が必要である.
  横ずれ断層では,形態単位モデル(中田ほか,2004)によってセグメンテーションが試みられており,上記のような横ずれ変位とそれに伴う縦ずれ変位の分布を組み合わせることによって,より精度の高いセグメント評価が可能となろう.また,データベース化した諸元情報をマッピングすることによって,変位量や平均変位速度をさらに吟味出来るように,GISの導入を柱とした作業を進めている段階である.
著者関連情報
© 2006 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top