抄録
富山県砺波平野の南側は「井波風」「庄川あらし」の常襲地域である。これらの局地強風、および冬季の雪を伴う西風と屋敷林所有・植栽とのかかわりや、民間伝承である不吹堂(ふかんどう)と風穴の位置の関連を考察した。
屋敷林の所有率は、調査地域の南の山沿いのメッシュ、とくに庄川の市街地近く、井口、城端の中心部近くに多いほか、北西にあたるメッシュ、とくに砺波市の出町から西側、小矢部方面にも所有率の高い領域が存在する。
東西南北の方向別に詳細な建物の数を計数した。基本的に南と西の方向に屋敷林を植えている場合が多く、これに加えて東側か北側に植えている場合が多い。南と西の各方向には、ある一定の規則性があり、これの比率を図3に示した。井口・城端では南方向が、砺波市の出町から西側に西方向の強い領域がみられる。また、南部の山沿いでは、東方向の屋敷林も多い。
北方向の屋敷林が多い地域は、出町の北側と井口周辺である。出町の北側に小島集落が存在するが、この周辺でも2004年の0423号台風で被害があり、新藤(2005)でも北方向の屋敷林への被害も報告されている。また、北方向の屋敷林は、防風目的で植えるスギよりも、作物や地盤を固めるための樹種、例えばクリやタケの木が多く植樹されていたということが考えられる。空中写真では表面のみ見える状態であるため、聞き取りなどでの樹種の調査が必要と思われる。