日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 611
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社会調査の回収率とその地理的傾向
*埴淵 知哉, 村中 亮夫, 花岡 和聖, 中谷 友樹
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抄録
近年では、大規模な社会調査や政府統計において回収率の大幅な低下が確認されている。回収率の低下が何らかの選択バイアスを伴う場合、得られたデータの分析結果やその解釈は不確実なものとならざるを得ない。そこで、まずその偏りの実態、言い換えると「一票の格差」の社会的・地理的状況を把握しておくことは不可欠である。また、回収率は調査研究への協力によって得られる一つの帰結であり、協調行動の性質や、学術研究に対する信頼性なども反映した指標と考えることも可能である。したがって、回収率の規定要因を探る基礎研究の重要性は高いといえる。そこで本研究では、回収率を規定する個人的および地理的な要因を探ることで、上記の課題に対して基礎資料を提供することを目的とする。分析に利用したデータは、JGSS(Japanese General Social Surveys: 日本版総合的社会調査)の2005年および2006年調査における回収状況データである。JGSSは、2000年から継続的に実施されている全国規模の反復横断調査であり、層化二段無作為抽出法によって調査地点および調査対象者個人を抽出している。同データでは、調査対象者との接触成功/不能、そして、協力獲得/拒否といった回収状況を記録した個票データが利用でき、さらに、抽出地点の都市化(修正都市雇用圏)およびジオデモグラフィクス(Mosaic Japan)コードが識別できるため(中谷・埴淵 2009, 埴淵ほか 2010)、これらの地区類型ごとに「接触成功率」と「協力獲得率」を算出して分析に用いた。分析の結果、接触成功率および協力獲得率は地区類型によって大きな差があり、従来指摘されてきた都市化の程度だけでなく、都市圏内の中心/郊外や、さらにはジオデモグラフィクスのような近隣特性によっても異なることが明らかになった。例えば2005年調査における都市雇用圏の分析からは、接触成功率と協力獲得率がともに最も低い政令指定都市の中心市において、小都市郊外の半分程度しか回収できていないことが示された(表参照)。このような傾向の一部は、調査対象者の年齢や性別の偏りによって説明されるものの、それらの個人属性を統制し、調査地点レベルでのサンプル間の相関を考慮したマルチレベル分析をおこなった結果においても、回収状況と地区類型の間には統計学的に有意な関連がみられた。
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