トンレサップ湖は、チベット高原東端の山岳地域に源を発する、広大な流域面積(795,000km2)を誇るメコン川の流域に位置する東南アジア最大の淡水湖である。 トンレサップ湖の調査は、カンボジアやその周辺諸国における長年の戦乱、内紛や政情不安などのため、水環境や生態系の現況について十分に行なわれておらず、かつての調査結果も散逸しているのが現状である。また、メコン川の水理特性と密接に関連しており、雨季にメコン川の水がトンレサップ川を通じて同湖に逆流し、水位変動に伴い湖の水質特性が季節によって変化することが予測される。したがって、学術上の希少性ならびに社会的重要性から,トンレサップ湖の理化学的特性の形成機構や生態系の維持機構を早急に評価することは必要であると考えられる 本研究では、メコン川やトンレサップ湖流域の河川水の流入・流出と湖内部での湖水の挙動が同湖の水温・水質の特性にどのように寄与しているかに注目して考察をする。