日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P036
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発表要旨
バブル経済期以降の東京23区における人口変化の空間的パターン
*若林 芳樹小泉 諒
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抄録
本研究の目的は,GISを用いて社会地図を作成し,バブル経済期以降の東京23区の人口構成の空間的パターンとその変化を検討することにある.そのために,時系列比較に適したメッシュデータを用いながら,バブル経済が始まった1985年から最新のデータが得られる2005年までを分析した.分析には,社会地区を構成する主要な人口指標を選定して地図化し,都心を基準にした6つの距離帯と4つのセクター間での指標値の定量的比較を行った.用いた指標は,家族的地位を代表する年少人口率,老年人口率,単独世帯率,社会経済的地位を代表するブルーカラー率,管理職率,専門技術職率,民族的地位を表す外国人率である.分析に先立って,人口増減率の変化を検討したところ,バブル経済期の地価高騰の影響を受けた1985~1995年には,都心部とその周辺での減少が著しかったが,地価が下落に転じた1995~2005年には,都心部での人口回復傾向が認められた.こうした人口増減パターンをふまえて,社会地区の各指標を分析した.家族的地位を表す年齢・世帯構成については,都心周辺部への核家族世帯の流入により,同心円パターンからセクター・パターンへと変化しつつある.社会経済的地位を表す職業構成については,基本的には東西の差が顕著なセクター・パターンが維持されているものの,その差は縮小してきている.とくに管理職率はセクター・パターンから同心円パターンへの変化がみられ,ホワイトカラー内での差も顕在化している.外国人人口は,都心周辺で最も高い同心円状のパターンがみられた.しかし国籍別に分析を行ったところ,それぞれ集住地区を形成していて,諸外国での研究と同様に,多核心パターンが認められた.
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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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