日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S1605
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発表要旨
国立公園の制度的概要と管理の現実
*加藤 峰夫
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抄録
国立公園制度には、自然環境(生態系/生物多様性)の保護保全という観点から見た場合にいくつもの問題点が指摘されていた。しかし2002年と2009年の自然公園法改正で、次のような点で、制度的にはかなりの対応が施されてきた。1)生態系と生物多様性の保全の推進2)地域制という特徴の、欠点から利点への転換3)地域の関係者の理解と協力を前提とする「風景地保護協定」と「利用調整地区」4)「海の環境」の保全の強化しかし、公園地域内での効果的な環境保全や適切な利用の推進の具体化のために不可欠な「費用」については、何らの対策も取られておらず、各公園を抱える地域の判断や対応に丸投げされているのではないかという気さえする。適切な公園管理に要する「費用の負担」と、そして公園内とその周辺の「地域の人々」が受けるべき「利益」が十分に明確にされることがないままでは、「地域制自然公園」の発展は望めないどころか、現状レベルの管理さえも危うい。生物多様性の保全を支える国立公園を持続的に維持し、自然環境の保護保全と適切な利用を推進していくためには、この「自然環境保全の費用負担のありかた」が、しっかりと検討されなければならない。
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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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