日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P004
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発表要旨
東日本大震災における自主防災活動の実態
宮城県岩沼市、亘理町、山元町を事例として
*垂澤 悠史春山 成子
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抄録
 阪神大震災を契機として、その主体を市町村から行政区へと段階的に移行してきた自主防災活動であるが、その活動内容は地域の性格や対象となる災害によって大きく異なる。震災以前より、藤見ら(2011)はソーシャル・キャピタルが防災意識に及ぼす影響をすでに実証的に分析し、田中ら(2006)もまた、津波災害における警報伝達システムの限界を指摘していた。東北地方沿岸部に多大な被害をもたらした東日本大震災において、地域の自主防災組織がどのように活動したかを明らかにし、より有効な自主防災活動の在り方を提言することが本研究の目的である。 本研究の調査地である宮城県の岩沼市、亘理町、山元町はおおむね平滑な海岸地形上に位置し、調査地域内で階層的な被害がみられるうえ、仙台市のベッドタウンとして造成された住宅団地や、長い歴史を持つ農村集落など、多様な社会構造を有することから、被災程度、社会背景と自主防災活動の関わりについて、複次的な調査と考察が可能である。本調査においては対象市町村から、立地、被災規模、コミュニティー形成時期を基準として抽出した6つの行政区についてその自主防災の取り組みと東日本大震災時の活動を調査した。 本研究においては、岩沼市役所、亘理、山元町役場での聞き取りと、行政区長への聞き取り、アンケート調査を実施した。実施したアンケートは、回答者の属性、行政区のソーシャル・キャピタルと震災における被害、自主防災組織の活動と震災における共助活動に関する各質問よりなり、それぞれの行政区について、被害規模、地域社会の在り方、自主防災活動の実態、避難活動の内容を関連付けて評価できるようにした。また、ソーシャル・キャピタルの評価基準として町内会活動の活発さを採用し、アンケートの項目とした。 調査の結果として、本調査の対象としたすべての行政区において、町内会活動と自主防災活動の活発さ、自主防災活動の活発さと震災時共助活動への満足度の両方に相関関係が認められた。また、被災規模が比較的軽微であった二つの行政区では、震災時に行政区を超えた共助活動がなされたことが判明した。
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