日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P039
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発表要旨
GISを援用した四国地方における食肉処理場の肉豚集出荷圏の空間パターン分析
淡野 寧彦
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抄録
近年,日本においては,家畜の飼養戸数や飼養頭数の減少傾向が続く一方で,1戸あたり飼養頭数の増加が進行している。この動きとともに,牛や豚などの流通部門において欠かすことのできない食肉処理場(と畜場)の再編が起こっている。全国の食肉処理場は,2000年から2010年の10年間で,277ヵ所から198ヵ所に急減したが,同時に施設規模の大型化や稼働率の向上が進んでいる。現在稼動中の食肉処理場は,肉豚換算で1日あたり数百~二千頭程度の処理能力を持つものが一般的である。したがって,それぞれの食肉処理場にとっては,処理する家畜を安定的に受け入れ,稼働率を恒常的に高く維持するための体制づくりが重要であり,このことは畜産物流通の空間的特徴にも影響を及ぼす一因になると位置づけられる。そこで本報告では,食肉処理場レベルでの肉豚の集出荷圏の形成状況とその要因について,GISによる分析を援用しながら検討する。四国地方に存在し,2012年現在で稼働中の食肉処理場12ヵ所を対象として,それぞれの食肉処理場に出荷される肉豚の生産者の所在地と,処理された豚肉を購入する流通業者の所在地等に関する情報を収集する。これらをArcGISを用いて地図化し,個別の食肉処理場の集出荷圏の空間パターンを示すとともに,四国地方における肉豚・豚肉流通の性格を分析する。畜産物流通統計における「肉畜種類別都道府県間交流表」より,家畜の生産地と食肉処理地の双方が把握できる。肉豚の自県・他県産別の処理頭数をみると,全国レベルでは自県産が70.8%,他県産が29.2%(2009年)と,同一都道府県内における処理頭数が多い傾向にある。四国地方における肉豚の流通では,愛媛県の年間豚出荷頭数が約38万頭に上が,愛媛県の食肉処理場における他県産の肉豚処理率は0.2%に過ぎない。一方で,他3県の他県産肉豚所利率は,徳島県が68.8%,香川県が64.6%,高知県が54.3%と,いずれも過半を超えており,他県産ではとくに愛媛県産肉豚の処理率が高い。四国地方において突出した肉豚産地である愛媛県内で完結する肉豚流通が比較的少ないことや,愛媛県産の肉豚が他県の食肉処理場を経由した後,ふたたび愛媛県の食肉卸売業者によって流通・販売される場合もみられる。以上のように,四国地方の中で一定の流通経路が形成される空間パターンが存在していることが予期され,それが四国地方における豚肉の供給体制にも影響しているものと推察される。
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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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