日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P023
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発表要旨
晴天弱風時の夜間に都市上空で出現するクロスオーバー現象
-岡山平野を対象とした気温の鉛直プロファイル観測-
*重田 祥範大橋 唯太
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抄録
本研究では晴天弱風時の夜間に,等温線が同心円状に広がる明瞭なヒートアイランド現象の出現が報告されている岡山平野を対象として,係留気球を用いた気温の鉛直プロファイル観測をおこなった.そのうえで,都市ヒートアイランドの形成メカニズムを考えるうえで重要なクロスオーバー現象の存在について明らかにし,岡山平野で発生するヒートアイランド現象の立体構造を把握することを目的とした. 観測の結果,明瞭なヒートアイランドが出現した2010年5月2日午前0時の地上気温偏差では,都市部と郊外の気温差は5℃以上となっており,典型的なヒートアイランドが出現している.また,気温の鉛直プロファイルに着目すると,郊外では上空約100mまで温位が急激に上昇(3.0K/100m)しており,接地逆転層が形成されている.一方,都市部や沿岸部の気温鉛直分布は等温に近い状態となっている.さらに,興味深い特徴として,高度90m付近で都市部と郊外の温位が等しくなる「coincident point」が認められ,それよりも高い高度では都市部の温位が郊外よりも1K以上高いことが明らかとなった.つまり,この結果はクロスオーバー現象の存在を示唆するものとなった.
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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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