抄録
本発表の目的は、東京大都市圏に中古集合住宅を取得した世帯の属性と住宅取得時に実施された住居移動の特性を分析することである。 住宅取得と住居移動との関係を分析した既存研究では、主に新築住宅の取得をもって居住経歴の終着点とみなす傾向にある。しかし大都市圏には膨大な住宅ストックが存在しており、近年では新築集合住宅のみならず、中古集合住宅の市場規模が拡大している(図)。元来、日本の住宅市場は新築住宅を中心に構成されてきたが、人口減少社会を目前に控え、新たな住宅を建設するよりも既存の住宅を再利用した方が経済学的かつ環境学的に優位であるとの見解が示されている。欧米などに見られるリノベーション住宅の開発などは、その典型例であり、空室の目立つ中古集合住宅をいかに再利用していくのか、緊要の課題と言えよう。 ただし、中古集合住宅の再利用を議論する際、具体的にどのような世帯がどの地域に取得しているのかといった、中古集合住宅再生の糸口を模索するための基本的な知見が十分に得られているとは言い難い。 そこで本発表では、大規模なアンケート調査の結果を用いて、新築/中古集合住宅取得者の差異を中心に分析する。