日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P036
会議情報

発表要旨
断層崖のマスムーブメント:東日本における事例
*田力 正好水本 匡起松田 時彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
活断層(縦ずれ)の断層崖は,その成長と共に比高を増大させ,重力的に不安定となる.その結果,断層崖では地すべり・崩壊などのマスムーブメントが発生しやすくなると考えられる.縦ずれ断層が多く,新第三紀以降の固結度の弱い岩石が多く分布する東日本(糸魚川-静岡構造線(糸静線)以東)においては,特に高頻度で発生していることが予想される.本発表では,東日本のいくつかの活断層帯において,断層崖に生じたマスムーブメントの実例を示し,その形態や変形の特徴,断層崖の形態に及ぼすマスムーブメントの影響,活断層のマッピング・変位量の測定等の際に注意すべき点などについて述べる.断層崖沿いに重力的な変形(マスムーブメント)が認められることは珍しくない.断層崖に地すべり等のマスムーブメントが生じている場合,重力的な変形の影響を受けてテクトニックな要因のみの変形の場合に比べて低断層崖の位置がずれたり,変位量が大きくなったりする可能性がある.このため,活断層のマッピングや変位量の測定の際には,重力的な変形の影響の有無を検討することが必要である.特に大規模な地すべりや,地すべり地形が不明瞭な場合には,断層近傍の地形のみに着目すると地すべり地形を見落とす可能性があるため注意が必要である.
著者関連情報
© 2013 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top