日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 111
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発表要旨
漁業日誌からみる近海カツオ漁における漁場利用特性
*吉村 健司
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抄録

 沖縄県本部町は、県内でも有数のカツオの水揚げの地として名を馳せてきた。しかし、近年は燃料価格の高騰や後継者不足といった問題から、衰退の一途をたどっている。燃料価格の高騰はカツオ漁の操業形式にも大きな影響を与えており、後継者不足の問題と併せて、本部町のカツオ漁の維持において非常に大きな問題となっている。 現在の沖縄のカツオ漁における主漁場はパヤオとよばれる人工浮魚礁だが、ソネとよばれる海底岩礁も利用されてきた。特に、ソネについては漁業者の経験知に基づいて利用されてきた。換言すれば、ソネの利用は本部町のカツオ漁の歴史であり、カツオ漁における伝統的技術といえる。パヤオでの操業が主流となり、燃料価格の高騰に起因する操業範囲の規制は、こうした本部町の漁場利用に関する知識や経験といった、一つの「伝統」の焼失につながる。 そこで、本報告では本部町のカツオ漁におけるソネの漁場利用について、その利用形態および特徴を2つの船団の漁業日誌(1981 年~96 年、2000 年~2010 年)と聞き取り調査に基づき、その特徴について報告する。

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