日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 213
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発表要旨
2010年国勢調査の人口移動集計における都道府県間移動数の補正
*小池 司朗
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抄録
 国勢調査において,人口移動に関する問いは従来大規模調査年に設けられ,直近3回(1990年・2000年・2010年)の調査では5年前の居住地をたずねている。この人口移動に関する集計結果は,都道府県別および市区町村別に表象され,過去5年間の人口移動状況が現住地ベースかつ男女年齢別にODで把握できる貴重な資料である。しかし,2010年調査では5年前居住地不詳が急増したことに加え,不詳の分布が地域別・年齢別に大きく偏っているため,移動状況を精確に捉えることが困難になっている。そこで本報告では,5年前居住地不詳に占める都道府県間移動数を男女年齢別に推定することにより,人口移動集計で表象されている都道府県間移動数の補正を試みる。本補正により,1990年・2000年の人口移動集計における都道府県間移動数との比較分析をはじめとして,人口移動に関連する様々な分析が可能になると考えられる。
 補正は,(1)都道府県間移動総数の推定,(2)都道府県別男女年齢別転入数の推定,(3)都道府県別男女年齢別転出数の推定,(4)都道府県別男女年齢別都道府県間移動数(OD)の推定,の4段階で行い,その際には2000年国勢調査の人口移動集計や住民基本台帳人口移動報告のデータも活用する。なお本研究では,推定精度の確保および2000年国勢調査との比較の容易性の観点などから,5歳以上について5歳階級別の推定を試みることとした。
 補正の結果,2010年国勢調査における5年間の都道府県別転入超過数は「住民基本台帳人口移動報告」による2006~2010年の都道府県別転入超過数にかなり近い値となり,補正が概ね正しく行われていることが確認された。補正前後の都道府県別・男女年齢別の詳細な比較考察等については,当日報告する。
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