日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 805
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発表要旨
龍泉洞周辺地域における地表水・地下水の水文・水質特性と地質条件
*田林 雄池田 浩一伊藤田 直史榊原 厚一辻村 真貴
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抄録

石灰岩地域は、鍾乳洞・カルスト地形などの自然景観に恵まれ、地下空洞や裂か中に含まれる豊富な地下水が地域の水資源として重要な役割を果たす。我が国では、岩手県の龍泉洞や山口県の秋吉台等において水文学的研究が行われてきた。石灰岩特有の地形である鍾乳洞周辺における地表水−地下水循環系は、依然解明されていない部分が多くさらなる検討の必要がある。調査対象地域は、岩手県下閉伊郡岩泉町字神成の龍泉洞とその周辺、南北約20 km、東西約5 kmの範囲である。当地域は安家石灰岩、チャート、粘板岩、砂岩等の堆積岩類と、それらを貫く花崗岩類からなり、龍泉洞、龍泉新洞、安家洞などの洞穴が存在する。また、地形については、石峠を境に江川川が北流し安家川に注ぎ、また本田川が南流して小本川に注ぐ。調査は、2014年9月2日、3日にかけて実施した。また、9月2日の午後2時から6時までの間に15.5 mmの降雨が観測された。一般に陸水中ではCa2+、Mg2+、HCO3-は地層中の炭酸塩がその供給源であり、イオン交換、海水や温泉水の混入、人為的汚染がない場合には双方はほぼ当量線に含まれる。電気伝導度とCa2++Mg2+の関係については、9月2日に採水された地下水において電気伝導度が高い値を示し、9月3日に採水された水試料とは傾向が異なる。すべての地点において水質特性はCa−HCO3型を示し、とくに石灰岩地域に起源を有すると考えられる湧水、地下水においては、Ca2+、HCO3-濃度が顕著に高い値を示した。

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