抄録
本研究では、『出雲国風土記』の出雲郡と、『延喜式』巻十 神名下の出雲郡に記載されている神社を取り上げて、神社の立地場所の経緯度からデジタル地図を作成し、神社の巡回ルートについて空間分析する。研究では、『出雲国風土記』と『延喜式』巻十 神名下に記載されており、現在、場所が確認できる出雲郡の26の神社を取り上げて、『延喜式』の国司が神社に幣帛を渡すために巡回するおおよその地理上の順番をもとに、神社の巡回ルートについて空間分析した。研究では、GISを使用することにより、再現された過去の空間の中で、地理的に最短ルートを求め、比較分析を行った。また、『延喜式』の巡回ルートが地理上の順番だけにもとづいていないことと、古代の出雲郡に対する空間認識(地域区分)もある程度示すことができた。研究では、古代の道路や古代の神社の位置が把握できない部分があり、この点については今後の課題としたい。