抄録
本研究では,東京都都心3区の中心点(都心点)から直線距離で20㎞圏を研究対象地域として設定した.
距離圏の設定にあたっては,研究対象地域において1km圏毎にバッファを生成した.また,セクターの設定では,鉄道沿線で人口密度が高いことから,鉄道がセクターの中央になるように八方位に分割した.分割した8セクターは,北から時計回りに,北東部,東北部,東南部,南東部,南西部,西南部,西北部,北西部とした.分析では,セクターの大半が東京湾に含まれる南東部を除いた,20距離圏×7セクターの計140地区を対象とした.1995年から2010年までの距離圏・セクター別人口密度をみると,15年間で人口密度200.0人/ha以上の高密度地区が増加し,6~10km圏でみられた高密度地区は,4~10km圏となり,都心点方向に拡大している.また,人口密度が最高値を示す距離圏は,7~9km圏に集中していた.一方,1995年と2010年との人口密度の差は,3~5km圏で大きい.次に,人口密度曲線を適合した結果, 2010年の最高値は,西部の4セクターでは9~10km圏,東部の3セクターでは4~9km圏にあった.時間的変化をみると,東南部のセクターは,1995年では7セクターで最も低かったが,2010年では最も高くなっている.人口密度曲線の最高値は,15年間で西北部と北西部のセクターであったのが,東南部と東北部のセクターになった.