抄録
従前より行われてきた都市気候研究の知見の多くが、近年は工学分野の研究と結びつき、具体的な都市環境改善に向けた社会実装のフェーズに入ってきたと言える。本稿では著者らのこれまでの研究成果を中心に主に環境工学分野での都市熱環境の研究事例として、都市・建築表面における熱収支観測の事例、都市キャノピーモデルによるシミュレーションによる評価事例、都市スケールの気象観測データの解析事例、衛星リモートセンシング技術の活用事例、メソスケール気象モデルの活用事例を紹介した。今後は自治体の環境政策への具体的貢献など、社会実装が重要な鍵であると考えている。