主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2020年度日本地理学会春季学術大会
開催日: 2020/03/27 - 2020/03/29
本研究は,人口減少下の土地利用変化,特に建物用地から水田/その他農用地への利用変化について,土地利用細分メッシュが分析に用いるデータとして妥当かどうかの検証を, 屯田宅地の農用地化を推進する深川市の非農用地活用促進事業対象地を例にとり,行った.この結果, 深川市非農用地活用促進事業対象地と土地利用細分メッシュの2時点間の土地利用の変化とが一致したのは2.4%に留まり,また,土地利用細分メッシュの建物用地から田/その他農用地への土地利用変化について,2006年時点の建物の存在を確認するゼンリン住宅地図との判定正率は96.4%であった一方で,2014年の基盤地図情報の基本項目の建築物外周線情報との判定正率は5.1%に留まるなど, 土地利用細分メッシュデータを人口減少下の土地利用変化の分析に用いるのには信頼性が低いと考えざるを得ない結果となった.もちろん,細分メッシュデータはそのメッシュで支配的な土地利用を示すものであるが,わずかな建物用地の減少でメッシュの土地利用が変わっているのにそれをもって機械的に都市的土地利用と自然的土地利用の変化を分析し,傾向を結論付けることは,特に遷移過程における政策立案や計画策定をミスリードする可能性がある. 今後,人口減少下の土地利用変化,特に建物用地から水田/その他農用地への利用変化について分析するためには,2009年,2013年に作成された細密数値情報(10mメッシュ土地利用)や数値地図5000(土地利用)の更新を行ったり,土地利用細分メッシュデータに基盤地図情報を合わせてメッシュの土地利用について検証しながら分析したりする必要があると考えられる.