日本の暖候期の季節進行は,多くの地域で,梅雨と秋霖の多雨季とその前後の相対的な少雨季を特徴とする.これらの多雨季・少雨季は1ヶ月程度の時間スケールでの事象であるが,細かく見れば梅雨入り・梅雨明けのような月の途中での急変を伴っており,月単位のデータでは詳しくは捉えられない季節進行と言える.本研究では,降水の季節進行における高次の変化に注目し,多雨・少雨のタイミングの地域特性を調べた.統計的に信頼できる結果が得られるよう,長期間のデータを確保するため,アメダスとこれに先立つ区内観測の資料を組み合わせて使った.
解析方法: 1926〜1978年の区内観測と,1979〜2020年のアメダスによる日降水量を使った.移動距離が水平5km未満かつ高さ50m未満であり,各月とも80%以上の資料が得られる489地点を対象にした.日降水量に9日移動平均を3回かけた後,日ごとの平均降水量を算出し,その極大・極小日を求めた.
結果: 多くの地域で梅雨と秋霖の降水量の極大が見られる.それらの極大日には地域差があり,一部の地域では複数の極大が現れる.