抄録
目的:近年,歯根破折への対策としてファイバーポストが注目されている.また,支台築造の研究において,単独冠ではなくブリッジの支台歯についての検討はほとんど認められない.そこで本研究では,延長ブリッジのポンティック部への荷重によるファイバーポスト併用レジン支台築造の有用性の検証を目的とした.
方法:実験には90本のウシ歯を使用し,支台築造方法3条件(既製金属ポスト併用レジン支台築造,ファイバーポスト併用レジン支台築造,レジン支台築造),および荷重方法3条件(歯軸に対し45°の角度でクラウンに直接荷重,クラウンに片持ち梁的につけた延長部に歯軸方向から荷重,同様の延長部に45°方向から荷重)の合計9条件とし(n=10),破折試験から得られた初期破折強度と最大破折強度,さらに破折様相を用いて比較検討を行った.
結果:延長部に荷重した条件は,クラウンに直接荷重した条件と比較して,約1/4~1/2程度の破折強度を示した.延長部に荷重した条件でのファイバーポスト併用法は金属ポスト併用法と同等の初期破折強度および最大破折強度を示し,またレジン支台築造に対しては有意に高い最大破折強度を示した.
結論:ファイバーポスト併用法は金属ポスト併用法と同等の破折強度を有したが,延長ブリッジの条件下では他の支台築造と同様に著しい低下を認めた.また,ファイバーポストの最大の特徴とされる歯根破折の予防は期待できなかった.