抄録
目的:習慣性いびきや睡眠時ブラキシズムの有無が顔面の形態的特徴として表れるかどうか比較,検討する.
方法:いびきの有無については,アンケート結果と夜間睡眠時の寝息音をデータレコーダーによる記録・聴取から,ブラキシズムの有無については,口腔内所見(歯の咬耗,骨隆起,歯頸部クサビ状欠損の有無)を参考として,夜間睡眠時に装着させたスプリントの穿孔やグラインディング痕の観察から判定し,分類した.また顔面の撮影・記録は,非接触3次元計測装置を用いて,3次元顔面画像を構築した後,解析した.
結果:1.全被検者36名中いびきもブラキシズムも有する者は5名で,いびきのみを有する者は8名,ブラキシズムのみを有する者は6名であった.2.いびきの有無での顔面の形態的差異は,顔面最下方部輪郭付近に特徴的な形態を有した.3.ブラキシズムの有無での顔面の形態的差異は,上・中顔面領域の顔面側方部輪郭付近で咬筋の起始部である頬骨弓付近に特徴的な形態を有した.
結論:習慣性いびき,睡眠時ブラキシズムを有する者はそれぞれ顔面に特徴的な形態を有し,顎顔面の軟組織の3次元的特徴によって診察時の一指標となる可能性が示唆された.