日本補綴歯科学会誌
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◆企画:第126 回学術大会/ランチョンセミナー4  「紅斑性カンジダ症への口腔乾燥と義歯のかかわり」
紅斑性カンジダ症への口腔乾燥と義歯のかかわり
中川 洋一
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2018 年 10 巻 1 号 p. 32-39

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抄録

 紅斑性カンジダ症は,萎縮性の口腔カンジダ症である.舌乳頭萎縮がひとつの特徴的所見で,疼痛や味覚異常など不快な症状をともなうことが多い.しばしば慢性化し,再発を繰り返す例もあるため,早期の診断と適切な対処が必要である.紅斑性カンジダ症は,さまざまな菌種が検出されるが,Candida albicans が主な病原体である.診断は塗抹標本の鏡検によってなされる.紅斑性カンジダ症に最も関与する素因は唾液分泌減退である.紅斑性カンジダ症は自然治癒しないため,口腔乾燥への対応とともに,抗真菌薬療法が必要である.口腔乾燥への対処は,洗口液による含嗽によってCandida コロニー数増加を抑制し,代用唾液,人工唾液,保湿ジェルによって口腔粘膜を保湿し解剖学的バリアーを強固にする.義歯が原因となっている場合は,義歯の除菌が必要である.抗真菌薬の義歯への適用が効果的な場合もある.

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