2018 年 10 巻 1 号 p. 67-70
症例の概要:71歳,男性.下顎半側切除後の患側偏位による咬合接触の喪失と下顎運動範囲の制限により,咀嚼困難を惹起していた.本症例に対して,下顎顎義歯とパラタルランプにより咬合支持域を回復し,咀嚼機能の改善を試みた.
考察:下顎骨の患側偏位に対して,上顎義歯にパラタルランプを付与し,下顎顎義歯の人工歯を唇頬側にアーチを広げて排列することにより,咬合支持域と舌房を確保し,咀嚼機能の向上と舌による食物運搬が円滑にできるよう配慮した.
結論:下顎半側切除により著しい患側偏位を惹起した症例であっても,咬合支持域の回復と舌房の適正化は,長期的な予後の確保を図る上で有効と考えられた.