2018 年 10 巻 1 号 p. 71-74
症例の概要:患者は72歳の男性で,歯の欠損と義歯不適合による咀嚼困難を主訴に来院した.慢性歯周炎による多数歯欠損と歯周支持組織の減少に対して,上顎オーバーデンチャーと下顎クロスアーチブリッジによる補綴治療を行った.
考察:治療用義歯とプロビジョナルレストレーションを用いて咬合改善を行い,適切な歯周治療を行うことができた.磁性アタッチメントを用いた上顎オーバーデンチャーと,遠心カンチレバーを含む下顎クロスアーチブリッジによる補綴治療により, 安定した咬合を付与したことで,良好な予後が得られたと考えられる.
結論:多数歯欠損症例において,歯周炎のコントロールと安定した咬合の付与により,良好な結果を得た.