症例の概要:42歳女性.左側口蓋粘表皮癌の再発で硬口蓋および軟口蓋の一部を切除した.松浦らの上顎欠損の分類1)H3S1D2T0であった.口蓋欠損による発音障害と診断し,欠損部を被覆する暫間顎義歯を製作し欠損部位の創傷治癒確認後,仮床義歯試適時に義歯床縁および研磨面をフレンジテクニックにて形成した新顎義歯を製作した.
考察:今回の症例では口腔癌切除後,新顎義歯を装着後に発語明瞭度の向上を認めた.嚥下,発音に留意した形態の義歯を製作したことにより良好な結果が得られたと考えられる.
結論:口蓋欠損患者において軟口蓋後縁の存在は大きく,その形態に留意し義歯を製作したことにより発音が改善されたと考えられる.