2019 年 11 巻 2 号 p. 171-174
症例の概要:初診時60歳の女性.開口時に上顎義歯がはずれやすいこと,およびそのために食べ物が食べづらいことを主訴に来院した.義歯床粘膜面の適合は良好であったが,口唇裂の形成術部の瘢痕により口唇の弾性が低下しており,それにより開口時上顎義歯が口唇圧を受け義歯が脱離していると判断した.そこで患者固有のデンチャースペースを採得することで義歯製作を行った.
考察:部分的に口唇の弾性が異なる上顎に対し,機能運動ならびに発音を利用し,口腔内に適したデンチャースペースを採得したことが良好な結果につながったと考えられる.
結論:患者固有のデンチャースペースを採得したことで主訴の改善と良好な結果を得ることができた.