日本補綴歯科学会誌
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◆企画:【誌上ディベート】上顎無歯顎のインプラント補綴 固定性vs. 可撤性
上顎無歯顎のインプラント補綴
— 患者中心の治療選択を考える—
細川 隆司正木 千尋近藤 祐介向坊 太郎田村 暁子柄 慎太郎
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2019 年 11 巻 2 号 p. 95-101

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抄録

 上顎無歯顎におけるインプラント支持補綴装置の選択に関しては,現在に至るまで明確なコンセンサスは得られていない.現在明らかになっているエビデンスをもとに総合的に判断すると,上顎無歯顎のインプラント補綴治療においては,(1)固定性補綴装置であれば,4本以上のインプラントを連結したボーンアンカードブリッジ,(2)可撤性補綴装置であれば,4本以上のインプラントを連結して支持するIODによる治療,のどちらかが推奨される.両者の選択に関しては,インプラント喪失のリスクやメインテナンスにおける上部構造の機械的トラブル,可撤性補綴装置を使用する心理的負担を考えると,固定性のボーンアンカードブリッジを第一選択として治療計画を立案すべきであり,IODによる治療が選択され得るのは,インプラント埋入部位に十分な幅と高さの支持骨が認められる症例において,義歯床によるリップサポートが必要な場合や前歯部の反対咬合,あるいは経済的な制約がある場合などに限られる.

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